三朝町の木材と倉吉絣で「木の本」制作 倉吉市・堂計画室の生田代表 地元PRやふるさと納税の返礼品に 7月末から「原画展」

杉やヒノキに美しい絵が印刷されている「木の本」。糸のこでくり抜かれ、立体的に楽しめます

倉吉市の一級建築士の男性が三朝町の杉やヒノキ、倉吉絣を使った「木の本」の制作に取り組んでいます。

完成した木の本と生田代表

 一級建築士事務所「堂計画室」(同市清谷)の生田昭夫代表。絵本のモチーフは、「三徳山投入堂」「三朝温泉発見の白狼伝説」「打吹天女伝説」「倉吉市役所の話」など、鳥取県中部の伝説や建物にまつわる話です。「地元のPR とともに、倉吉のふるさと納税の返礼品として県産材や倉吉絣の魅力を県外にも伝えたい」と意気込んでいます。

 生田代表は三徳山の国宝「投入堂」の研究で知られ、「集佛庵」の設計や古民家再生など木造建築で有名ですが、一方で、鳥取県中部地震(平成28年)で世界的な建築家・岸田日出刀(北栄町出身)と丹下健三の共同設計で建てられた倉吉市役所が被害に遭った際は、日本で初めて「地震被害のあった登録文化財の鉄筋コンクリート建築」の修復工事にも取り組みました。

 ある時、在宅障がい者のデイサービス施設で木を使った本を作っているのを知り、「障がい者の仕事が増え、何より地元材や倉吉絣の魅力が伝わる」と本格的な木の本の制作に取り組むことになりました。

背表紙にはこのために織られた倉吉絣が使われています

 木の本は、新書版よりやや大きいサイズの板4枚を倉吉絣の背表紙で貼り付けて製本。絵の一部は「糸のこ」でくり抜かれ、立体的な作りになっています。地元の山本印刷(同市広栄町、山本庄英代表取締役社長)が最新技術を使って杉やヒノキに美しいカラーの絵を印刷することに成功しました。

 「地元作家の絵や、倉吉絣保存会の協力でわざわざ織ってもらった倉吉絣の背表紙、手間をかけた労作です」と生田代表。販売予定価格は1冊4500円(税別)で「セット売りも検討。将来的には10冊程度シリーズを増やしたい。東京にある県のアンテナショップの販売のほか、ふるさと納税の返礼品として活用できれば」(生田代表)と話しています。

販売に先立ち、7月31日から8月4日まで倉吉市宮川町の「ルネックス」コミュニティプラザ百花堂のギャラリーで原画を展示した「木の本展」を開催。午前10時から午後6時まで。入場無料。